
この日の公明新聞から、暮らしに関わる2つの話題を、生活の言葉でお届けします。
生まれつき耳が聞こえにくい「先天性難聴」は、1000人に1〜2人の割合で見つかります。大切なのは、早く気づいて、適切なサポートに切れ目なくつなぐこと。それが家族の不安を和らげ、子どもの将来の選択肢を大きく広げます。静岡市の高校2年生・松澤花さん(16)の歩みが、そのことを教えてくれます。
花さんは生まれてすぐの検査で、ジェット機の音も聞こえないほどの難聴と分かりました。「大きくなれば聞こえてくるはず」と淡い期待を抱いた母に、医師はこう告げます。「脳が言葉を最も吸収する1歳前後に人工内耳で音を届ければ、言葉を伸ばせる」。母はその言葉を信じ、生後11カ月で手術を決断。花さんは懸命な療育で、少しずつ言葉を身につけていきました。
今の花さんは、友だちとカラオケに行き、生徒会を2期務め、カナダへの短期留学にも挑戦する、ごく普通の高校生です。騒がしい場所では人一倍集中が要りますが、親友が「花、分かってないでしょ」とすかさず助けてくれます。「障がいをかわいそうだと思わないで。私が人前に立つことで、偏見をなくしたい」。そうはにかむ姿は、自分の足で人生を歩む頼もしさに満ちていました。
自転車で走ることが、被災地の応援になる――。東日本大震災からの復興を後押しするサイクリングイベント「ツール・ド・東北2026」が9月20日、宮城県の5市町で開かれ、全国から1669人が参加しました。今回で13回目。気仙沼市では、7年ぶりに復活したコースから参加者が走り出しました。
タイムや順位を競わず、完走をめざして走るのがこのイベントの特徴です。震災の記憶をたどり、復興の歩みを感じながら被災地を巡る――参加者が現地を訪れ、地域にお金を落とし、つながりを生む「走る復興応援」です。福島県や石川県のサイクルルートが国の「ナショナルサイクルルート」に選ばれるなど、自転車を通じた復興の取り組みは各地に広がっています。